介護手記 80代 女性

20年前ぐらいから、不安感が強く、時々ひどくわけもわからず怒鳴りちらす。胃が痛い。便が出ない。と胃腸科に10年近く通い続けました。毎年胃カメラをのんでいました。それでもあまり治らない。自分の意のままにならないと暴力をふるうので、○○病院で検査をしていただきました。認知症の一つのアルツハイマー型認知症と診断されました。しかし、発症したのは、だいぶ以前からでしょう。といわれて、私はひどくショックを受けました。なぜ、もっと先に気づかなかったのか、そしたら、今ほど病気は進行しなくてすんだはず。どうしたらよくなるのだろう。あれこれ考え、自分とむきあい心の葛藤をしました。私は、とっさに認知症だと近所の人や、この人の友達にもわからないようにしようと一生懸命かくすことにしました。でもなんだか自分ではおかしい。がってんいかない。考えたあげく本を読んだり、苑にもいれていただき、集団生活になれてほしいと思いました。いろいろな面でもっともっと努力しなくてはと思った矢先にケアマネージャさんのおかげでアルカディアに入れてもらいました。今までは私と連れ添って通ったが、ここではなんの抵抗もなく皆と馴染めたようです。「なにかあったらあんたら助けてくれるのか。」とおじいちゃんが尋ねたのを耳にして、慌てて私は身を隠しました。驚いたことは一人で入浴できたことでした。いろいろ迷惑をかけたようですが、いつも不安と身を守る事、自分の居場所があるのかを探して「かあちゃん」「かあちゃん」と騒ぐ。落ち着いて皆さんと行動を共にできるようになるには、どのくらいかかるのか心配でした。でも一つ一つ指導してもらいながら、どうにか皆様の中で指示通り動けるようになれたようです。ここまでくるのに遠い遠い道のりでした。本当にうれしく思います。皆様に囲まれた皆様のやさしい心に包まれ、かたくなに閉じた心でしたが、その心も少しずつなごみ、にこにこ楽しめるようになったようです。本当にありがとうございました。 私が近所で「おじいちゃんが変な行動をした。」「失敗した。」といちいち謝ってまわるのをやめ、認知症になったのだ。誰も通る道だと認め、ありのままのおじいちゃんを見ていただき、協力してもらうように、皆様にかわいくおもわれるように考え方を変えました。自分一人で頑張ったところで何ができると思うようになりました。できるだけ外へ出て、近所の人に助けてもらうよう、地域社会で皆様に温かく迎えてもらおうと思います。
この間も私が台所で夕食後の片づけをしていたら、夜8時30分頃のことです。大きな音がしたので慌てて玄関に飛んでいくと、おじいちゃんが倒れていて、陶器の傘たてを背中にみるも痛そうな姿で転んでいました。鼻血がタラタラ流れて落ちていました。もうびっくりして、いつも親切にしていただいている家に電話で「助けて。おじいちゃんが玄関で転んで血みどろになっている。どこをけがしているか、わからない。」と電話をすると「じゃ今から主人と一緒にくるよ。」と答えてくださいました。私はあの血をみるとびっくりして何をしてよいか、わからずにただうろうろまわりつづけていた。やがて、娘と○○さんとそのご主人で救急車をよび、高岡の病院へいきました。鼻の骨が折れていました。手足、頭は異常なしでした。本当に良かった。いざという時、私は何もできない無力さが悲しく思いました。友達の親切がありがたく思いました。この親切は一生忘れません。 この間も大通りの車道に入り、転んでしましました。家の前のおばあさんが「おじいちゃん倒れたよ。」と私に伝えに来てくださいました。慌てて外へ出て自動車がひっきりなしに通る車道、しかもラッシュアワーです。びっくり慌ててひきずり出そうとしたが、私の力ではびくともしません。おじいちゃんは手をだして助けを待っていました。どうしようもなく力のある限り引きずり白線の外へだしホッとしました。自動車は勢いよく2台通りぬけてゆきました。危なかったね。おじいちゃんも目で合図をしました。すると私達の前に1台の白い車が止まりました。中から中年のおじさんが降りてきて「どこまでいくのか?」と尋ねられました。まだぼーっとしていたので、もう一度「どこにいけばいいのか?」と言われ、その戸口までというとすぐにおじいちゃんを持ち上げて戸口まで待ってきてくださいました。「ありがとうございました。」というのがやっとでした。名前を聞く暇もなくさっと姿が見えなくなっていきました。ただ茫然としているばかりです。世の中捨てたものではない。あんな親切な人もおいでるのだから。 最後に介護してうれしいことは主人と意思が通じるようになったことです。ごはんを食べているときに「このかぼちゃおいしいよ。」というと一口食べ、にっこり笑顔で目でうんうんと頷きます。私も笑顔でおいしいねと合図をしてやると又おいしいよと目で合図します。小さな小さな幸せの一時です。これからどんな病状がでるのか、思っただけでいやになります。寝たきりになるだろう。体力も落ちてきた。でも明日は明日の風が吹く。ケセラセラの気持ちで生きていこう。また、どのようになるかわからないが、いつまでも肩を張らずに、あきらめないで元気で頑張りたい。