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認知症
【医師監修】認知症の介護拒否への理解を深め、より良いケアへ
『3分で読める認知症』として、『㉒ 介護拒否』をお届けいたします。
認知症の介護でよく見られる「介護拒否」。本人と介護者の双方にとって、つらい状況ですよね。
今回は、介護拒否とは何か、なぜ起こるのか、そしてどう対応すれば良いのかについて、介護者の方々に向けて解説していきます。

■介護拒否とは?
介護拒否とは、介護が必要な場面で、本人がその行為を拒否することです。食事や着替え、入浴など、日常生活のさまざまな場面で起こりえます。
■介護拒否の具体例
- 食事:用意した食事を嫌がり、食べようとしない
- 着替え:着替えを拒否し、同じ服を着続ける
- 入浴:風呂に入ることを拒否し、体を拭くことさえ嫌がる
- 排泄(はいせつ):トイレに行きたがらず、オムツ交換を拒否する
- 薬の服用:薬を飲もうとせず、口から吐き出す
■介護拒否が起こるメカニズム
介護拒否が起こる原因はさまざまですが、主なものとして以下が挙げられます。
- 認知機能の低下:認知症が進むにつれて、何が起こっているのか理解できなくなり、不安や恐怖を感じる
- 過去の経験:過去のつらい経験がよみがえり、その状況を避けようとする
- プライバシーの侵害:身体に触れられることに抵抗を感じる
- 自立心の喪失:自分では何もできないと感じ、やる気を失う
■介護拒否への対策
介護拒否への対応は、本人の状態や状況によって異なりますが、以下のポイントを意識することが大切です。
- 原因を探る:なぜ拒否するのか、その原因を探ることが大切です。
- 本人の気持ちを尊重する:拒否する理由を理解し、無理強いはしない
- 穏やかな声かけ:焦らず、ゆっくりと穏やかな声かけをする
- 選択肢を与える:「ご飯かおやつ、どちらにしますか?」など、選択肢を与えることで、本人の意思決定を促す
- 環境を整える:静かで落ち着ける環境を用意する
- チームで連携:他の家族や介護職員と連携し、共通認識を持って対応する
■介護拒否に対して介護するときのポイント
- 焦らない:焦って対応すると、本人はますます不安になります。
- 無理強いしない:本人の気持ちを尊重し、無理強いはしないようにしましょう。
- ほめる:行動一つ一つをほめることで、やる気を引き出す
- 安全確保:拒否の際に、本人や周囲の安全を確保することが大切です。
- 介護職員との連携:介護職員と密に連携し、情報共有を図ることが大切です。
■まとめ
認知症による介護拒否は、介護者にとって非常につらい状況ですが、本人の気持ちに寄り添い、適切な対応を行うことで、状況を改善できることがあります。