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【医師監修】アルツハイマー型認知症の症状・治療法・予後と介護のポイント

『3分で読める認知症』として、『③ アルツハイマー型認知症』をお届けいたします。

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も一般的なタイプであり、進行性の病気です。

本記事では、アルツハイマー型認知症の特徴的な症状、治療法、予後、そして介護の際に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。

家族や介護者の方々が、より良いケアを提供できるよう、専門的な視点からのアドバイスも併せて紹介します。

1.アルツハイマー型認知症とは?

アルツハイマー型認知症は、タンパク質のゴミ(アミロイドベータやタウ蛋白)が脳にたまるため、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。認知症全体の約6~7割を占め、最も一般的な認知症です。

2.アルツハイマー型認知症の症状

症状は進行性で、主に以下の3つの領域に障害が現れます。

  • 記憶障害:近時記憶(数分~数日間残る記憶)の障害が最も特徴的です。約束や予定を忘れる、同じことを何度も聞くなどです。進行すると、遠隔記憶(数日より長い期間残る記憶)や固有名詞も忘れるようになります。
  • 実行機能障害:計画や遂行、判断などの能力が低下します。料理や家事など複雑な作業が難しくなります。
  • 人格や行動の変化:無気力、易怒、攻撃性、幻覚、妄想など。

3.薬物療法

進行を遅らせる効果のある薬はありますが、根本的に治す薬はまだありません。症状や進行度に合わせて、抗認知症薬(ドネペジルやメマンチンなど)や抗精神病薬(クエチアピンやリスペリドンなど)、抗てんかん薬(バルプロ酸やカルバマゼピンなど)、抗うつ薬(テトラミドやトラゾドンなど)が処方されます。

4.非薬物療法

認知機能や生活能力の維持、症状の改善などを目的とした療法です。以下のようなものがあります。

  • 認知リハビリテーション:記憶訓練、計算、音読、作業療法など。
  • 生活リハビリテーション:日常生活動作の訓練。
  • 心理療法:個別療法、集団療法、家族療法など。
  • 環境調整:わかりやすい標識、手すりなどの設置。

5.予後

個人の差はありますが、一般的に症状は徐々に進行し、介護が必要になります。平均余命は発症後8年ほどと言われています。

6.介護で大切なポイント

  • 認知症への理解:認知症の症状や特性を理解し、適切な対応をする。
  • 共感とコミュニケーション:相手の気持ちに寄り添い、ゆっくり、丁寧に話す。
  • 生活リズムの維持:規則正しい生活リズムを維持する。
  • 本人の意思尊重:本人の意思や希望を尊重する。
  • 介護者の負担軽減:介護者自身の心身の健康を保つ。

7.家族の役割

  • 認知症への理解:認知症について学び、家族全体で理解を深める。
  • コミュニケーション:本人と積極的にコミュニケーションをとる。
  • 介護者のサポート:介護者への精神的、身体的な負担を軽減する。
  • 専門家との連携:医師や介護職員と連携して、適切なケアを受ける。

8.まとめ

アルツハイマー型認知症は、進行性の病気であり、完治は難しいです。それでも、適切な治療や介護によって、症状を安定させ、生活の質を維持することは可能です。介護職員は、認知症への理解を深め、本人や家族と協力しながら、質の高い介護を提供することが求められています。

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