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【医師監修】混合型認知症とは?症状・治療法と介護のポイント
『3分で読める認知症』として、『⑦ 混合型認知症~異なる認知症が織りなす複雑な影~』をお届けいたします。
混合型認知症は、2種類以上の認知症が同時に進行する複雑な病気です。主にアルツハイマー型認知症と血管性認知症が合併することが多く、その症状や進行具合は個々のケースによって異なります。
本記事では、混合型認知症の特徴や主な症状、治療法、介護のポイントについて詳しく解説します。
■ 混合型認知症の定義
混合型認知症とは、2種類以上の認知症が同時に進行している状態です。最も代表的なのは、アルツハイマー型認知症と血管性認知症の組み合わせです。レビー小体型認知症やその他のタイプの認知症が重なることもあります。
近年、認知症患者の高齢化が進み、混合型認知症の患者数も増えています。高齢者における認知症患者の約2割を混合型認知症が占め、今後さらに増えていくと考えられています。
■ 混合型認知症の主な症状
混合型認知症の症状は、進行している認知症の種類やそれぞれの進行度によって異なります。一般的には以下の症状が現れます。
- 記憶障害:過去や現在のこと、約束などを忘れやすくなります。
- 見当識障害:場所や時間、状況を把握できなくなります。
- 判断力や思考力の低下:適切な判断や意思決定ができなくなります。
- 実行機能障害:計画を立てたり、指示に従ったりすることが難しくなります。
- 性格や行動の変化:無気力や攻撃性、幻覚などの症状が現れることがあります。
■ 混合型認知症の治療法
混合型認知症には、根本的な治療法はありません。しかし、それぞれの認知症に対する治療法を組み合わせることで、症状の進行を遅らせ、生活機能を保つことができます。
- 薬物療法:アルツハイマー型認知症には、アリセプト(一般名:ドネペジル)やメマリー(一般名:メマンチン)などが使われます。脳血管性認知症には、血圧降下薬や抗血栓薬などが処方されます。
- 非薬物療法:リハビリテーションや認知機能訓練、介護予防などが重要です。
■ 混合型認知症の予後
混合型認知症の予後は、合併している認知症の種類やそれぞれの進行度によって異なります。一般的には、単独の認知症よりも進行が早い傾向があります。
■ 混合型認知症の介護におけるポイント
混合型認知症の介護は、複数の認知症の症状に対応する必要があります。以下は、介護におけるポイントです。
- それぞれの認知症の特徴を理解する:それぞれの認知症の特徴を理解し、適切な対応をすることが重要です。
- 生活環境を整える:安全でわかりやすい生活環境を整えることで、認知症の症状を悪化させる要因を減らせます。
- 日常生活をサポートする:食事、入浴、排泄などの日常生活をサポートする必要があります。
- 認知機能訓練を行う:認知機能訓練は、認知症の進行を遅らせる効果があります。
- 介護者自身の心身の健康を保つ:介護は負担が大きいため、介護者自身の心身の健康を保つことも重要です。
■ 家族の役割
家族は、患者の介護だけでなく、医療機関との連携、介護サービスの利用、行政手続きなど、いろいろな役割を担う必要があります。また、患者の精神的な支えとなることも重要です。
混合型認知症は、患者さんにとってもご家族にとっても、負担が大きい病気です。しかし、適切な治療と介護、そして家族の支えによって、症状をある程度コントロールし、生活の質を維持することは可能です。