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認知症
【医師監修】認知症における実行機能障害とその介護
『3分で読める認知症』として、『⑬実行機能障害』をお届けいたします。
「食事をうまく作れない」「この後どうすればいいの?」
認知症の方から、こんな言葉をかけられたことはありませんか?
これは、認知症の症状の一つである「実行機能障害」かもしれません。
この記事では、実行機能障害による具体的な困りごとと、介護者がどのように対応すればいいのかを、具体的な事例を交えてご紹介します。
■ 実行機能障害とは
認知症の中核症状の一つである実行機能障害は、計画的に行動したり、段取りよく物事を進めたりすることが難しくなる症状です。脳の前頭葉の障害によって引き起こされ、日常生活にいろいろな支障をきたします。
■ 実行機能障害を起こすメカニズム
前頭葉は、計画や判断、抑制、遂行といった、複雑な行動をつかさどる重要な役割を担っています。認知症になると、この前頭葉の機能が障害されることで、実行機能障害が起こります。
■ 実行機能障害の具体例
- 計画や段取りが立てられない:買い物に行く前に必要なものをリストアップできない、料理をレシピ通りに進められない
- 優先順位がつけられない:緊急性の高いことと、そうでないことの区別がつかず、重要なことを後回しにしてしまう
- 指示が理解できない:複数の指示が一度に与えられると混乱し、理解できない
- 問題解決能力が低下:予期せぬトラブルが発生した時に、適切な対処方法が思い浮かばない
- 時間管理が苦手:時間の経過や約束の時間に間に合わなくなる
- 注意散漫:興味がそれると、目の前の作業に集中できない
- 抑制力低下:衝動的に行動してしまう
- 柔軟性の欠如:状況に合わせて行動を切り替えられない
■ 介護者が対応するときのポイント
実行機能障害を持つ人への介護には、以下の点に留意することが大切です。
- 具体的な指示を与える:抽象的な指示ではなく、具体的な行動を指示するようにしましょう。
- 1つずつ指示を出す:複数の指示を一度に与えるのではなく、1つずつ指示を出すようにしましょう。
- 視覚的なサポートを活用する:写真やイラストなどを活用して、指示を分かりやすく伝えましょう。
- 本人のペースに合わせて支援する:焦らず、本人のペースに合わせて支援するようにしましょう。
- 小さな成功体験を積み重ねる:小さな目標を達成し、成功体験を積み重ねることで、自信を高められます。
- 本人の興味関心を活かす:本人の興味関心を活かした活動を取り入れることで、意欲を高められます。
- 周囲の人との連携:他の家族や介護者と連携し、情報を共有し、協力しながら支援することが大切です。
■ まとめ
実行機能障害は、認知症の方の日常生活に大きな支障をきたす症状です。介護者の方々は、症状のメカニズムを理解し、具体的な支援方法を身につけることが重要です。焦らず、本人のペースに合わせて、寄り添いながら支援することで、認知症の方の生活の質を向上させられます。