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認知症
【医師監修】認知症と失語
『3分で読める認知症』として、『⑭ 失語(言語障害)』をお届けいたします。
認知症が進行すると、言葉がうまく出てこなくなったり、会話が成立しにくくなったりすることがあります。
これは「失語」と呼ばれる症状で、言葉を理解したり話したりする能力が低下することで起こります。失語は、本人だけでなく介護する人にとっても大きな負担となるため、適切な対応が重要です。
本記事では、認知症に伴う失語の特徴や治療法、介護のポイントについて解説します。

■ 失語とは
失語症とは、脳卒中や頭部外傷、脳腫瘍などによって脳の言語中枢が損傷されることで起こる、言葉を理解したり、話したり、読んだり、書いたりする能力の障害です。コミュニケーションが困難になるだけでなく、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
■ 認知症により起こる失語症の特徴
認知症に伴う失語症は、脳卒中などによる失語症とは異なる特徴があります。
- 進行性である:認知症が進行するにつれて、失語症の症状も悪化することが多い。
- 言語以外の認知機能にも障害がある:記憶力や注意力、判断力などの認知機能にも障害があるため、失語症の症状が複雑になる。
- コミュニケーションの意欲が低下する:認知症の進行により、コミュニケーションを取ろうとする意欲が低下することがある。
■ 失語症の治療
認知症に伴う失語症の治療は、根本的な原因を治療することはできませんが、症状を改善するための治療法があります。
- 言語療法:言語聴覚士による、コミュニケーション能力の訓練。
- 薬物療法:脳の血流を改善したり、神経伝達物質の働きを調整したりする薬。
- 環境調整:コミュニケーションしやすい環境を作る。
■ 失語症の人を介護するときのポイント
失語症の人を介護する際には、以下の点に注意することが大切です。
- ゆっくり、はっきり話しかける:ゆっくりと、はっきりとした声で話しかけ、聞き取りやすいようにする。
- 非言語コミュニケーションを活用する:表情やジェスチャー、絵などを活用してコミュニケーションを取る。
- 時間をかけて待つ:相手が言葉を見つけられるように、時間をかけて待つ。
- 言い換える:理解できない場合は、言い換えてみたり、別の言葉で説明したりする。
- 本人の意思を尊重する:コミュニケーションを取りたいかどうか、本人の意思を尊重する。
■ まとめ
認知症に伴う失語症は、介護者にとっても、本人にとっても大きな負担となります。失語症に関する知識を深め、適切なコミュニケーション方法を学ぶことで、より効果的な介護を行えます。