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【医師監修】知っておきたい!認知症の方の「誤嚥(ごえん)」とその予防策

『3分で読める認知症』として、『㉖ 誤嚥』をお届けいたします。

■誤嚥(ごえん)とは?

誤嚥とは、飲み込んだ食べ物や飲み物が、食道ではなく気管に入ることです。若い方であれば、むせて咳をすることで誤嚥した物を出せます。しかし、認知症の方はこの反射が弱くなっていることが多く、誤嚥を起こしやすいのです。

■誤嚥が起きるメカニズム

認知症が進むにつれて、脳の機能が低下し、飲み込むための筋肉の動きが遅くなったり、協調性が失われたりすることがあります。また、口の中に食べ物があっても、それを飲み込むべきだと認識できなくなったり、飲み込むタイミングがわからなくなったりすることもあります。これらのことが原因となり、誤嚥が起こりやすくなります。

■誤嚥が起きるとどうなるの?

誤嚥を起こすと、肺炎になる可能性が高まります。肺炎になると、咳や痰、呼吸困難などの症状が現れ、重症化すると命に関わることもあります。

■誤嚥を予防するには?

誤嚥を完全に防ぐことは難しいですが、以下の予防策を心掛けることで、リスクを減らすことができます。

  • 食事の姿勢を正す:背もたれを立て、あごを引いて、ゆっくりと食事をするようにしましょう。
  • 一口の量を少なくする:大きな一口を飲み込むと、誤嚥しやすくなります。一口の量を少なくし、よくかんでから飲み込むようにしましょう。
  • 食事の時間をゆっくりと取る:急いで食事をするのではなく、十分な時間をかけて食事をするようにしましょう。
  • 水分補給:口の中が乾燥すると、飲み込みにくくなるため、こまめな水分補給を心がけましょう。
  • 口腔ケア:口腔ケアをていねいに行うことで、口の中の清潔を保ち、誤嚥性肺炎のリスクを減らせます。
  • 食事の形態:柔らかく、飲み込みやすい食事形態にすることが大切です。

■誤嚥に気づいたら?

誤嚥に気づいたら、あわてず落ち着いて対応しましょう。

  • 食事を中断する:食べ物を口から出し、食事を中断します。
  • 姿勢を正す:背もたれを立て、あごを引いた姿勢にします。
  • 様子を見る:咳が出たり、呼吸が苦しそうになったりする場合は、医師や看護師に相談しましょう。

■治療薬はあるの?

誤嚥の直接的な治療薬はありませんが、肺炎になってしまった場合は、抗生物質などの治療を行います。

■介護する上でのポイント

  • 食事介助の工夫:認知症の方の状態に合わせて、食事の姿勢や一口の量、食事の時間を調整しましょう。
  • 口腔ケアの徹底:定期的に口腔ケアを行い、口の中を清潔に保ちましょう。
  • 嚥下訓練:言語聴覚士などの指導のもと、嚥下訓練を行うことも効果的です。
  • 多職種での連携:定期的に医師や看護師、言語聴覚士などに相談し、適切なケアを受けましょう。

■まとめ

認知症の方の誤嚥は、肺炎を引き起こす原因となるため、早めの対策が大切です。ご家族や介護職員の方々が、日頃から注意を払い、適切なケアを行うことで、誤嚥のリスクを減らせます。

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