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【医師監修】認知症とてんかん : 適切な対応と安全な暮らしのために

『3分で読める認知症』として、『㉗てんかん』をお届けいたします。

■認知症とてんかん、それはどんな関係?

認知症とてんかんは、どちらも脳の機能に問題が生じる病気ですが、全く異なるものです。しかし、高齢者では、認知症を患っている人がてんかんを発症することも少なくありません。このコラムでは、認知症とてんかんの関係性について、ご家族の方や介護職員の方に向けて詳しく解説していきます。

■てんかんとは?

てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮し、その結果、意識を失ったり、体がけいれんしたりする病気です。発作の種類はさまざまで、意識を失わずにぼーっとするような軽いものから、全身が硬直したりけいれんしたりする激しいものまであります。

■認知症とてんかんが合併するメカニズム

なぜ、認知症とてんかんが一緒に起こるのでしょうか?そのメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、脳の神経細胞がダメージを受けることで、両方の病気が起こりやすくなることが考えられています。アルツハイマー病など、特定のタイプの認知症では、てんかんの発症リスクが高まることが知られています。

■認知症とてんかんが合併するとどうなるの?

認知症の症状に、てんかんの発作が加わることで、介護がより複雑になります。例えば、発作中にけがをしてしまうリスクが高まったり、発作後の混乱が長引いたりすることがあります。また、てんかんの発作が認知症の症状を悪化させる可能性も指摘されています。

■てんかんを予防することはできる?

残念ながら、てんかんを完全に予防することは難しいです。しかし、認知症の進行を遅らせるために、規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動などを心がけることは大切です。

■てんかんの発作が起きたときの対応

てんかんの発作が起きたときは、あわてずに以下のことに注意しましょう。

  • 安全な場所へ移動させる : 発作中にけがをしないよう、周囲のものを片付け、安全な場所に移動させましょう。
  • 頭を保護する : 頭の下に柔らかいものを敷き、頭を保護しましょう。
  • 体を固定しない : 体を固定しようとすると、かえってけがをしてしまうことがあります。
  • 口に物を入れない : 以前は舌をかむのを防ぐために、口に物を入れることがありました。しかし、今では逆に危険であることが分かっています。
  • 救急車を呼ぶ : 発作が長く続く場合や、はじめて発作を起こした場合などは、すぐに救急車を呼びましょう。

■てんかんの治療

てんかんの治療には、抗てんかん薬が用いられます。しかし、全ての患者さんに効果があるわけではありません。医師の指示に従って、適切な治療を受けることが大切です。

■介護するときのポイント

認知症とてんかんを合併している人を介護する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 発作記録をつける : 発作の種類や頻度、発作前の兆候などを記録することで、医師の診断に役立ちます。
  • 周囲の環境を整える : 発作中にけがをしないよう、部屋の照明を明るくしたり、床に滑り止めを敷いたりするなどの工夫をしましょう。
  • 介護者も心身を休ませる : 介護は大変ですが、一人で抱え込まずに、地域の支援サービスなどを利用して、心身を休ませることが大切です。

■まとめ

認知症とてんかんは、どちらも高齢者に多くみられる病気です。両方の病気を抱えている人を介護することは大変ですが、適切な知識と対応によって安全に生活を送ってもらえます。このコラムを、日々の介護に役立ててもらえるとうれしいです。

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