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【医師監修】バリデーション学習コラム:第1回 バリデーションとは何か?~認知症ケアにおけるコミュニケーション革命~

『3分で読める認知症』として、『㉘ バリデーションとは』をお届けいたします。

■認知症ケアにおけるコミュニケーション革命

皆さんは、認知症の方とのコミュニケーションで、どんなことに困っていますか?「何を言っているのか分からない」「いつも同じことを繰り返す」「こちらの言うことを聞いてくれない」など、さまざまな悩みがあると思います。

このような状況で、多くの介護者の方が感じているのは、「どうしたらうまくコミュニケーションを取れるのか」という悩みではないでしょうか。

そんな時に役立つのが、「バリデーション」という考え方です。バリデーションとは、認知症の方の言葉や行動の裏にある感情や思いを尊重し、共感することで、より良い関係を築こうとするコミュニケーションの方法です。

■バリデーションの重要性

従来の介護では、認知症の方の言動を「間違い」や「問題行動」ととらえ、それを修正しようとする傾向がありました。しかし、認知症の方の脳は、健常な人と比べて異なる働きをしているため、同じように接しても効果がないことがあります。

バリデーションでは、認知症の方の言葉や行動に込められた意味を理解し、その人らしさを尊重することが大切です。これにより、認知症の方の不安やストレスを軽減し、QOL(生活の質)の向上につながると考えられています。

■バリデーションの目的

バリデーションの目的は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 認知症の方のQOL向上:認知症の方の言葉や行動に共感することで、安心感や安定感を与え、心の状態を穏やかにします。
  • 尊厳の保持:認知症の方をひとりの人間として尊重し、その人の価値観や生き方を認めることで、尊厳を守ります。
  • 介護者と認知症の方の良好な関係構築:お互いを理解し、信頼関係を築くことで、より円滑なコミュニケーションが可能になります。

■バリデーションを実践する上での心構え

バリデーションを実践するためには、以下の心構えが大切です。

  • 偏見や固定観念を捨て去ること:「認知症の人は……」というような固定観念を持つことは、相手に寄り添うことを難しくします。一人ひとりが違う個性を持っていることを理解しましょう。
  • 根気強く耳を傾けること:認知症の方の話は、話が脱線したり、同じことを繰り返したりすることがあります。焦らずに、根気強く耳を傾けましょう。
  • 共感の大切さ:相手の気持ちに共感することは、信頼関係を築く上で非常に重要です。相手の言葉や行動の裏にある感情を想像し、共感の言葉をかけましょう。

■おわりに

バリデーションは、認知症の方とのコミュニケーションを改善するための有効な手段です。次回は、バリデーションの基本的な考え方や、具体的な声かけのテクニックについて紹介します。

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