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【医師監修】バリデーション学習コラム:第2回 バリデーションの基本的な考え方と手法~具体的な声かけと行動~

『3分で読める認知症』として、『㉙ バリデーションの基本的な考え方と手法』をお届けいたします。

■バリデーションの基本的な考え方

前回は、バリデーションの重要性や、実践する上での心構えについて解説しました。今回は、バリデーションの基本的な考え方と、具体的な声かけや行動について深掘りしていきます。

バリデーションは、単に相手の話を聞くだけでなく、その言葉の裏にある感情や思いに共感することが大切です。そのためには、以下の3つの考え方を意識することが重要です。

  • 認知症の方の視点に立つ:
    認知症の方の言葉や行動は、介護者から見ると理解しにくいものかもしれません。しかし、彼ら・彼女らなりの理由や背景があるはずです。その人の置かれている状況や、感じている感情を想像し、共感しようと努めましょう。
  • 感情に共感する:
    認知症の方の言葉から、どのような感情が読み取れるでしょうか?悲しみ、不安、怒り、喜びなど、さまざまな感情が隠されているかもしれません。その感情に共感し、言葉で表現してみましょう。
  • 否定せずに受け入れる:
    認知症の方の言葉や行動を否定したり、現実を突きつけたりすることは、かえって相手を傷つけます。たとえそれが事実と違っていたとしても、まずは相手の気持ちを尊重し、受け入れることが大切です。

■具体的な声かけのテクニック

バリデーションを実践する上で、具体的な声かけのテクニックをいくつかご紹介します。

  • 共感の言葉:
    「それは大変でしたね」「つらい思いをしたんですね」など、相手の感情に共感する言葉かけは、相手を安心させ、心の距離を縮める効果があります。
  • 肯定的な言葉:
    「よく頑張りましたね」「素晴らしいですね」など、肯定的な言葉をかけることで、相手の自信を高め、やる気を引き出せます。
  • オープンな質問:
    「どう感じましたか?」「何が気になりますか?」など、相手の考えや気持ちを尋ねるオープンな質問は、より深いコミュニケーションを促します。

■非言語コミュニケーションの重要性

言葉だけでなく、非言語コミュニケーションも大切です。

  • 視線:
    相手の目を見て話すことで、真剣に話を聞いていることを伝えられます。
  • 表情:
    笑顔を見せることで、温かい雰囲気を作り出し、相手をリラックスさせます。
  • 触れ合い:
    適切な触れ合いは、安心感を与え、心の距離を縮める効果があります。

■バリデーションにおける注意点

バリデーションを実践する上では、以下の点に注意しましょう。

  • 現実との折り合いをつける:
    常に相手の思いに同調する必要はありません。現実と異なることを言われた場合は、穏やかに事実を伝え、現実と折り合いをつけるようにしましょう。
  • 過度な期待はしない:
    バリデーションを実践しても、すぐに効果が出るわけではありません。根気強く、継続して取り組むことが大切です。

■まとめ

バリデーションは、認知症の方とのコミュニケーションを円滑にするための重要な考え方です。相手の言葉の裏にある感情に共感し、その人らしさを尊重することが大切です。次回は、認知症の方のよくある言動に対する具体的な対応策について、さまざまなケースを交えて解説していきます。

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