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【医師監修】バリデーション学習コラム:第3回 さまざまなケースにおけるバリデーション~実践編~

『3分で読める認知症』として、『㉚ さまざまなケースにおけるバリデーション』をお届けいたします。

■認知症の方とのコミュニケーションにおけるさまざまなケースと対応策

前回までは、バリデーションの基本的な考え方や、具体的な声かけのテクニックについて解説してきました。今回は、実際に介護の場面でよく見られるさまざまなケースと、その対応策をバリデーションの視点から考えていきましょう。

■よくあるケースと対応策

1.過去の出来事を話す

  • 対応策:
    過去の出来事を否定せず、共感の言葉をかけましょう。「それはすてきな思い出ですね」「楽しかったでしょうね」など、相手の感情に寄り添う言葉が大切です。
  • 例:
    認知症の方が「昨日、故郷の祭りに行った」と話した場合、「それは楽しかったでしょうね。どんなお祭りでしたか?」と尋ねると、より具体的な話を引き出せます。

2.幻覚や妄想がある

  • 対応策:
    幻覚や妄想の内容を否定せず、その存在を認めましょう。「それは怖いですね」「何が見えたのですか?」など、相手の不安を軽減するように言葉を選びましょう。
  • 例:
    認知症の方が「部屋に猫がいる」と話した場合、「それは怖いですね。一緒に探してみましょうか?」と声かけ、安心させることが大切です。

3.徘徊(はいかい)する

  • 対応策:
    徘徊の原因を探り、安心できる環境づくりを心がけましょう。また、徘徊中に出会った人が、優しく声をかけることも有効です。
  • 例:
    認知症の方が「家に帰りたい」と訴える場合、「ご自宅が恋しいんですね。一緒に思い出話をしましょうか」と声かけ、安心できる時間を共有しましょう。

4.攻撃的な言動をする

  • 対応策:
    落ち着いて相手の気持ちを理解しようと努めましょう。なぜそのような言動をするのか、何か不安なことがあるのか、原因を探ることが大切です。
  • 例:
    認知症の方が「あなたは私のものを盗んだ!」と怒っている場合、「盗むつもりはありません。何かお困りのことはありますか?」と穏やかに語りかけ、相手の気持ちを落ち着かせましょう。

■シミュレーションを通して学ぶ

さまざまなケースを想定し、ロールプレイを行うことで、より実践的なスキルを身につけられます。

  • ペアになって、実際の場面を想定して練習する
  • グループで意見交換を行い、より良い対応策を検討する

■グループワークで意見交換

他の介護者と経験を共有し、意見交換することで、新たな気づきを得られます。

  • ケーススタディ:実際のケースを題材に、グループで話し合い、それぞれの考えを共有する。
  • 質疑応答:疑問点や悩みを共有し、互いに助け合う。

■まとめ

今回は、認知症の方とのコミュニケーションにおけるさまざまなケースと、その対応策について解説しました。バリデーションは、理論だけでなく、実際の場面でどのように実践していくかが重要です。さまざまなケースを想定し、ロールプレイやグループワークを通して、実践的なスキルを身につけていきましょう。

次回は、バリデーションをチームで実践する上での重要性や、多職種連携について解説していきます。

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