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【医師監修】話題の認知症疾患修飾薬について知ろう

『3分で読める認知症』として、『㉞ 認知症の疾患修飾薬』をお届けいたします。

■疾患修飾薬と症状改善薬、何が違うの?

認知症の治療薬には、大きく分けて2つの種類があります。

  • 症状改善薬:すでに出ている症状、例えば記憶力低下や混乱などを改善する薬です。
  • 疾患修飾薬:認知症の進行を遅らせたり止めたりすることを目指す薬です。

■認知症の疾患修飾薬の種類と働き

現在、日本で保険適用されている認知症疾患修飾薬は、「レカネマブ(レケンビ®)」と「ドナネマブ(ケンサラ®)」の2種類です。これらは、アルツハイマー病の原因と考えられるタンパク質のゴミ(アミロイドβ)を減らすことで、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。

■治療の対象者

対象となるのは、軽度認知障害(MCI)や軽度のアルツハイマー病の患者さんです。具体的には、脳にアミロイドβがたまっていることが確認され、認知機能検査で一定の基準を満たす方が対象となります。これらの薬は、症状が進行した患者さんには効果が期待できないため、早期の段階での治療開始が重要です。

■投与方法・投与間隔

レカネマブ(レケンビ®)は2週に1回の静脈注射を行ない、投与期間は原則として18カ月までです。一方、ドナネマブ(ケンサラ®)は4週に1回の静脈注射を行ない、投与期間は最大で72週間です。どちらの薬も投与間隔は、患者さんの状態などによって異なりますので、担当医の指示に従ってください。

■副作用

すべての薬にいえることですが、副作用が出る可能性もあります。認知症疾患修飾薬の主な副作用としては、頭痛や吐き気、関節痛などが挙げられます。また、脳にむくみや出血が起こることもあります。副作用が出た場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。

■介護者が気をつけるべきこと

  • 効果が出るまで時間がかかる:疾患修飾薬は、すぐに効果が出るわけではありません。効果が現れるまでには、数ヶ月以上かかる場合があります。
  • 治療の中断は避ける:効果を実感できなくても、治療を中断してしまうと、病気の進行が早まる可能性があります。
  • 定期的な検査:治療中は、定期的に脳の検査や血液検査を受ける必要があります。
  • 副作用への注意:上で述べたような副作用に注意し、何か異常を感じたら、すぐに医師に相談してください。

■まとめ

疾患修飾薬は、認知症の治療に新たな可能性をもたらす薬です。しかし、万能ではありません。他の治療法や生活習慣の改善とあわせて、総合的に取り組むことが大切です。もし、疾患修飾薬について不明な点があれば、医師や薬剤師に相談してください。

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