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【医師監修】認知症の治療や予防に使う血流改善薬

『3分で読める認知症』として、『㉟ 血流改善薬』をお届けいたします。

■脳の血流と認知機能の関係

脳は身体の司令塔であり、思考や記憶、感情など、あらゆる高次な機能を司っています。これらの機能を円滑に働かせるためには、十分な量の酸素と栄養が供給される必要があります。

脳の血流が低下すると

  • 脳細胞がエネルギー不足となり、機能が低下します。
  • 神経伝達物質の合成が阻害され、神経間の情報伝達がうまくいかなくなります。
  • 神経細胞が死滅し、脳の構造が変化する可能性があります。

■血流改善薬が有効なケース

  • 血管性認知症:脳の血管に障害が起こり、脳の細胞がうまく働かなくなることで起こる認知症です。脳の血流が悪くなっているため、血流改善薬が有効な場合があります。
  • アルツハイマー型認知症:脳の神経細胞が死んでいく病気ですが、脳の血流が悪くなっている場合があり、血流改善薬が補助的に用いられることがあります。

■血流改善薬の種類と作用

血流改善薬にはさまざまな種類があり、それぞれの薬剤で作用の仕方が異なります。

  • 脳循環代謝改善薬:脳の血流を改善し、脳のエネルギー代謝を活発にする薬です。ニセルゴリン(サアミオン®)など。
  • 抗血小板薬:血小板が固まるのを抑え、血栓(血のかたまり)ができるのを防ぐ薬です。アスピリンやシロスタゾール(プレタール®)など。
  • その他の薬:血管拡張作用のある薬や、神経保護作用のある薬などがあります。

■血流改善薬の副作用

  • 脳循環代謝改善薬:吐き気や嘔吐、食欲不振、便秘、下痢などの消化器症状、頭痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ、動悸、発疹などが見られることがあります。
  • 抗血小板薬:出血(鼻血・歯肉からの出血・吐血・下血・血尿)や皮下出血、消化器症状(吐き気・胃痛・胃潰瘍)などが起こることがあります。

■介護者が気をつけるべきこと

  • 薬の飲み忘れを防ぐ:薬は、医師や薬剤師の指示通りに服用することが大切です。在宅の方では飲み忘れを防ぐために、薬手帳を活用したり、家族やヘルパーさんに協力をお願いしたりしましょう。
  • 副作用に注意する:服用後に体調に変化が見られた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
  • 定期的な受診: 薬の効果や副作用を確認するために、定期的に医師の診察を受けることが大切です。

■まとめ

脳の血流を改善するためには、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善も重要です。薬の副作用や他の薬との相互作用に注意しながら、医師や薬剤師と協力して治療を進めていきましょう。なお、健康保険の範囲で治療を受ける場合は、それぞれの薬に適応が決まっています。詳しいことは、医師とご相談ください。

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